原題は”母 mother”なこの一品。何やら、キネマ旬報2009年度海外部門ランキング10の2位を獲得しちゃっているとか。大きな劇場で公開していないけれど、この影響力は期待させられる。想像するに静かに燃える作品だろうね。だから、公開されて2ヶ月経っているにも拘わらず、シネカノン有楽町1丁目は程よい混み具合だった。
他館で予告を観ていた限り、感動を誘う王道作品だろうと勝手に思い込んでいた。うん、騙されたよ。だって、タイトルが”母”だよ? ”mother”だよ? 息子の殺人の疑いを晴らすために母が単身捜査を行うんだよ? 思い込んじゃうのも仕方がないよね。物語は、殺人の容疑をかけられた知的障害のある息子の無実を、母が大きな愛情を伴って解決していく。被害者の人間関係が少しずつ暴かれていき、紐解かれていく殺人事件。そして、いよいよ真実を知るために母は直接犯人に関わりのあるだろう人物の所へ向かう。
クライマックスはやっぱり、誰もが「わー、わー、感動したー」という声をあげると思うよね。でも、館内に響いた声は「ひっ」という鋭く小さな叫び声だった。さてさて、どうなるんでしょう。答えは言わない、教えない。絶対に自分の目で観て確認すべきだと思うから。
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