ヒューマントラストシネマ渋谷で『ペンギン・ハイウェイ』を観てきた

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ヒューマントラストシネマ渋谷 > スクリーン2 > 座席G-5 にて、14:35の回を鑑賞。H~I席9~12がベスト。高さはGでも問題なし。

最近CMがよく流れている本作、森見登美彦原作、ヨーロッパ企画の上田誠脚本、これだけでもそそられていたが、漸く行くことができた。雨にも拘らず、1時間半前だというのに主要な席は埋まっている。ギリギリ良席を確保することができた。


お姉さんが投げたコーラが放物線をえがき、頂点を迎えた後にアデリーペンギンと化す。そんなCMが印象的だったが、映画の中でも本当にそのまんまだった。そして、それが作品の核心にもつながる。

上記を含め、いろいろと不思議な事が起こるのだけれど、人や街がそれを受け入れているフシギ。いやいや、郊外のまちなかにひょっこりペンギンなんて普通現れないから。登場人物も、主人公のアオヤマくんはなかなかこの世に存在しない不思議くんだし、それに付き纏うウチダくんもハマモトさんも大概なもの。そして何よりおっぱいの謎をアオヤマくんに与え続けていた、お姉さんが一番不思議な存在だった。

鑑賞後、というか鑑賞中から、どうしても『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が頭をかすめる。なんだかグッとくる懐かしさを覚えながら体が反応する。閉じた空間――本作だと郊外のアオヤマくんたちが住む街の中――で発生する“確実に非日常的なこと”が、何故か自然と日常に溶け込んでしまう。物語の最後では、非日常が排除され何事もなかったかのようにいつもの日常が戻ってくる。ただし、映画を観ている人にはわずかばかりの違和感を残して。観ている人の身に降りかかる不思議体験が、なんだか似た雰囲気に思えた。

それと、“今いる世界”と“裏返った世界”、“生”と“死”など、立て続けにテーマが投入されたところで、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』も思い起こされた。これはふと感じた程度。

以下、作品ネタ。

アオヤマくんを悩ませるおっぱいの謎を解明できなかったことが残念だったことはさておき、印象に残ったやり取りがアオヤマくんとハマモトさんの父(地元大学の研究者)との会話。アオヤマくん&ハマモトさんは、夏休みをかけて取り組んでいる研究<<海>>と<<ペンギン・ハイウェイ>>について、ハマモトさんの父に何も伝えない。それに対しハマモトさんの父は、研究者としてはそうであるべきだ、と述べる。しかし、ハマモトさんの父はその研究の概要を知ってしまい、外堀を埋め、研究を我がモノにしようと進めてしまう。娘に対してやるか! と思いつつも、一研究者としては、娘も研究者でありライバル、知的好奇心は抑えられなかったのだろう。

部下のアイデアを上司が奪い自らの成果とする。同僚の特許ネタを事前に知り先に出願する。モラルは置いておいて、一般社会でもふつうに行われている。まぁ、やられる方の気持ちを考えると、吐き気すら覚えるのだけれど。

終盤のペンギン大行進は、クライマックスへ向かう演出としては心躍り、終着点を考えると悲しさを覚えるものだった。本作の映像の見どころだろう。そして、宇多田ヒカルの『Good Night』がとってもマッチ。CMを眺めていた時は、何か作品と合わないよなぁ、この曲……、と感じていたけれど、観終わってみたらそんなことはなかったのでした。

公式サイト: ペンギン・ハイウェイ

評点: (9/10)